電気料金に上乗せする賠償費用、2020年度から標準家庭で年間252円に

政府は原子力発電所の事故の賠償費用に対する積み立て不足を回収する新しい制度の骨子を固めた。過去の積み立て不足を総額で約2.4兆円と見積もり、2020年度から全国の電気料金に上乗せして回収する方針だ。電力1kWhあたり0.07円になる見込みで、標準的な家庭で年間に252円の負担になる。

福島第一原子力発電所の事故によって浮き彫りになった巨額の損害賠償費用の問題は、その一部を電力の利用者が負担する方法で解決する。政府は2月9日に開催した「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」において、各種の新制度と合わせて損害賠償費用の負担スキームを提示した。本来ならば原子力事業者が全額を負担すべき費用を国民に転嫁する形になり、大きな反発を招くことは必至だ

 原子力発電所に事故が発生して損害賠償が必要になった場合には、当然ながら発電所を運営する事業者が賠償費用を負担する。ところが福島の事故が発生する以前には、原子力発電所を運営する事業者も政府も賠償費用の発生を想定していなかった。政府は事故から5カ月後の2011年8月に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(原賠機構法)」を施行して、遅まきながら「一般負担金」の名目で一定額の拠出を原子力事業者に義務づけた。

 一般負担金の総額は原子力事業者11社(沖縄電力を除く電力会社9社、日本原子力発電、日本原燃)で2015年度に1630億円である。このうち原子力発電所を保有していない日本原燃の30億円を除いた1600億円を、事故の賠償費用に備えて必要な年間の積立金と位置づけた。

 この金額をもとに、原賠機構法の施行前に積み立ておくべきだった一般負担金を過去にさかのぼって回収する。原子力事業者10社が2015年度に保有している発電所の設備容量の合計を1.5億kW(キロワット)として、設備容量1kWあたりに必要な一般負担金の単価を1070円と算定した。

【2017.2.10 スマートジャパン記事より】

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