世界各国の電力自由化はどうなっているのか?

世界には、すでに電力自由化が進んでいる国が存在します。

さて、電力先進国の事情はどうなっているのでしょう!


アメリカの場合

アメリカでは日本より10年ほど早い時期から電力自由化が行われていまず。しかしアメリカでは、州ごとに法律が違うので、各州で独自に自由化が実施されています。

最も自由化が進んでいる州の一つは、テキサス州です。テキサス州には、売り上げで全米7位までになった総合エネルギー会社のエンロンがあったり、テキサス出身で共和党のブッシュ大統領(当時)が積極的に電力自由化を促進したからです。その影響で今でも共和党が強い州は自由化が進んでいます。

現在はアメリカ全体の約3割の州で自由化され全米で電力会社が3000社ほど存在するという、激烈な競争になっています。自由化された州では、激しい競争が行われてきたおかげで、消費者にとって魅力的な多様な料金プランやサービスが生まれています。

また、自由化にともなって、電力の消費データを活用した様々なIT企業が生まれています。これは既に撤退してしまいましたが、グーグルが「Googleパワーメーター」という消費電力量の計測アプリを開発したり、それ以外にも様々なベンチャー企業が電力消費データを使って新しいビジネスをしていこう、という気運が非常に高まっています。

EUの場合

電力自由化は、今のところアメリカよりもEUの方が進んでいます。EUは、各国が細かいルールなどを含め足並みをそろえて自由化を推進しているためです。

EUではイギリス・ドイツ・フランスを筆頭に多くの国が自由化を実施していますが、これ以外にもイタリアやスペイン、また北欧諸国などでも自由化が進んでいます。

中でも注目されているのはドイツです。ドイツでは自由化に伴って非常に多くの電力会社ができていますし、電気だけでなくガスやその他のエネルギーも一手に扱う総合エネルギー会社も生まれています。また太陽光や風力などの再生可能エネルギーの利用も進んでいます。そういった意味では、電力自由化を含むエネルギー産業の活性化においてはドイツが一番積極的で進んでいると言えるでしょう。また、イギリスでも電力自由化により、多くの電力会社が生まれましたが、競争の結果、現在6社くらいの電力会社に電力事業がほぼ集約されています。

EU諸国では自由化したあとに、多くの企業が電力事業に参入して、様々な料金プランができました。最近では、そうした企業同士の合併や統合が進んでいます。その結果、電気だけではなく、ガス・水道、インターネットサービスなどをまとめて消費者に提供する総合エネルギー企業が誕生しています。EUでは今、こうした大規模な総合エネルギー企業が国境を越えて多種多様なサービスを提供するようになっており、市場全体、経済全体において非常に大きな存在感を示すようになっています。

アジアの場合

一方、アジアはどうかというと、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどASEAN諸国の他、インドなどにおいては、現時点ではまだ自由化が進んでいるとは言えませんが、今後は他の地域と同様に自由化されることが期待されます。その点で、日本からすると、これらアジア諸国と協力して新しいマーケットを育てていける可能性が大いにあるため、アジア諸国の電力自由化は日本にとっても非常に望ましいことであると言えるでしょう。

アジア諸国は、先進国に比べると国全体の電力消費量がまだ少ないのですが、今後電力消費量においては大いに伸びしろがある地域と言えます。例えば各家庭に1台ずつテレビが入ったり、洗濯機が入ったり、エアコンが全部の部屋に取り付けられたり、2階建ての木造の建物が5階建ての鉄筋コンクリートになってエレベーターが設置されたり、照明がついたりなど、今後急激にエネルギー消費量が増えていくことが予測されているのです。あるデータによると、東南アジアのエネルギー需要は2035年までに今よりも80%以上伸び、現在の日本のエネルギー需要と同等になると言われています。

おそらくアメリカやヨーロッパ、日本などでは、国全体の電力需要は今後さほど伸びないと予測されます。一方、アジアは将来的に世界最大の電力需要マーケットになると考えられます。

日本の発電技術など電力事業に関わる多岐にわたる技術やノウハウが活かせるアジア市場は、日本の電力関連企業にとって非常に魅力的なのではないかと思われます。

(引用:グーテンブック編集部  biblionどうなってるの?世界の電力自由化&素朴な疑問集コラムより)

EneSity's 電力自由化取扱説明書

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